Mechanism

パーマのメカニズム-毛髪内部の3つの側鎖結合

毛髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質です。ケラチンは多くのアミノ酸が集まって出来ており、アミノ酸どうしの結合の仕方がいくつかあります。
ケラチンタンパク質はポリペプチドを主鎖としたラセン状の構造をしています。ポリペプチド主鎖は隣り合った主鎖どうしが横につながる「側鎖結合」と呼ばれる結合で結びついています。この横のつながりがケラチン分子を固定し、強度や弾力などいろいろな特性をケラチンに与えています。主な側鎖結合として、イオウどうしの結合である「シスチン結合(ジスルフィド結合)」。電気的に結びついている「塩結合」。水で簡単に切断される「水素結合」があります。

パーマ剤1剤には還元剤が配合され、毛髪を軟化・膨潤させる働きがあります。2剤には酸化剤が配合され、ウェーブを固定する働きがあります。また、1剤と2剤の間には、必ず中間水洗を行うことが義務付けられています。
この1剤と2剤の働きをもう少し化学的に見てみましょう。

パーマのメカニズム-1剤による側鎖の切断

パーマ剤1剤の有効成分であるチオグリコール酸やシステインは、水素を与えることで毛髪中のシスチン結合を切断します。このように水素を付加させたり酸素を奪ったりする作用を「還元作用」と言います。
また、パーマ剤1剤の大半は、アルカリ剤が配合されています。このアルカリ剤が毛髪を膨潤させ、還元剤を浸透し易くします。またアルカリ剤は、毛髪内部の塩結合を切断する作用もあります。
このように、1剤の働きで毛髪は側鎖の結合が切断されます。

パーマのメカニズム-2剤による側鎖の再結合

1剤で切断されたシスチン結合は、毛髪がロッドに巻かれたり、伸ばされたりすることによって、毛髪の形状が変化しています。
2剤の有効成分である臭素酸塩や過酸化水素は、酸素を放出することによって切断したシスチン結合を再結合させます。
このように酸素を与えたり、水素を奪う反応を「酸化」といい、酸化を行う成分である臭素酸塩や過酸化水素を「酸化剤」といいます。そして、2剤の酸化の働きは、臭素酸塩は酸性で強まり、過酸化水素はアルカリ性で強まります。

パーマは1剤で毛髪内のシスチン結合を還元して切断し、2剤で酸化して再結合させることでかかり、ウェーブパーマとストレートパーマの違いは、1剤でシスチン結合を切断した後、2剤で酸化するときに毛髪が曲がっているか真っ直ぐかの違いだけで、かかる仕組みは同じです。

この仕組みは大変簡単でわかり易いのですが、毛髪は複雑な構造をしているため、毛髪の微細構造からみたパーマのメカニズムを見てみましょう。

パーマのメカニズム-毛髪の微細構造からみたパーマのメカニズム

パーマのかかる仕組みは、毛髪の微細構造が密接に関係しているので、微細構造からパーマのかかる仕組みを説明します。
毛髪のコルテックス内は、毛髪の縦方向に沿った細長い微細繊維を形成している硬い部分(結晶領域)とそれを取り巻くように存在する非定型の柔らかい部分(非結晶領域または間充物質)に分かれています。どちらにもシスチン結合、塩結合、水素結合は存在します。結晶領域は、強い力で処理しない限り反応しない部分で、パーマ剤ではほとんど影響を受けません。その半面、非結晶領域は反応しやすい部分でパーマ剤は、主にこの部分に作用し効力を発揮します。
ロッド等で巻かれた毛髪は非結晶領域の内部に歪ができ、ここにパーマの1剤を作用させると非結晶領域内のシスチン結合が切断され、軟化します。この状態で2剤を作用させると、非結晶領域の構造が変化した状態でシスチン結合は再結合され硬化します。
極度に傷んだ毛髪にパーマがかからないのは、毛髪の非結晶領域が流出してしまっていてパーマ剤の作用する部分が少ないためです。

いずれにしても、パーマ剤のかかる仕組みはシスチン結合を1剤で還元して切断し、2剤で酸化して再結合させることには変わりありません。
1剤、2剤の働きを良く理解して、より良いパーマをかけましょう。

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